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2007-04-03(Tue)

不動産賃貸トラブルーアパート賃貸の法律関係8

今回は、賃貸借関係が終了する場面です。

借家の賃貸借関係は、通常、期間が満了して終わります。

そして、その場合でも、借りている側(以下賃借人と表示)が更新したい場合は、貸している側(以下賃貸人と表示)は6ヶ月以上の期間をみて、解約の申し入れをしなければなりません。

また、更新の拒絶や解約申し入れには正当事由が必要とされています。それは、やみくもに更新拒絶や解約申し入れをされて生活や営業の本拠を失うようなことがあってはならないと法が考えたからです。

その場合の正当事由とは、賃借人・賃貸人がその部屋の使用を必要とする事情のほか、賃貸借に関するいままでの経過、部屋の利用状況、そして貸主が借主に支払う立ち退き料の申し出などを考慮して、裁判所が判断するとされています。(借地借家法)

以上のように、その終了に際しては、「正当事由の有無」が決定的な意味を持つのです。

もっとも、債務不履行を理由とする(家賃の不払いなど賃借人がしなければならないことを怠っている場合)賃貸人からの解除は一つの重要な観点で判断されます。

それは、信頼関係破壊理論と呼ばれるものです。
すなわち、最高裁は「賃借人はいまだ本件賃貸借の基調である相互の信頼関係を破壊するに至る程度の不誠意があると断定することはできない」として、その基準を示しました。(最判S39年7月28日)

10年前、家賃滞納で信頼関係が破壊されているとされているのはどれくらいの長さか判例を調べてみたところ、だいたい6ヶ月でした。

もっとも、今の経済状況からすると、もっと短いかもしれませんね。

とにかく、賃貸人からすると、上記のような理由が必要とされるのでは非常に不利と感じられるので、法改正を要求してきました。

そして、そのような要求が、定期借家契約として、法律上、結実しました。それは2000年3月1日以降の契約では選択可能(両者の合意で)になりました。

定期借家契約では、公正証書の書面による契約に限る、「更新がなく、期間の満了により終了する」ことを契約書とは別にあらかじめ書面を交付して説明しなければならない、という方式が定められています。

そして、その契約の方式に従えば、期間満了により契約は終了し、更新はありません。

以上で、大雑把ではありますが、だいたい、アパートの賃貸借についての法知識を見てきました。

ただ、私は法律のシロウトですから、ここに書かれたことを鵜呑みにしないで、ご自身で調べた上で、自己責任のもと、行動してくださいね。

行動して、何らかの芳しくない結果が発生しても、私には責任はとれませんので。

また、今までの話は、悪徳な不動産業者を前提にしてきましたが、良心的な業者さんも少なからずいることも付け加えておきます。

2007-04-01(Sun)

不動産賃貸トラブルーアパート賃貸の法律関係7

今回は、借りている側(以下賃借人と表示)の貸している側(以下賃貸人と表示)に対して言えること(以下権利と表示)と、しなければならないこと(以下義務と表示)を、お話します。

まず、賃借人は借りた部屋を利用したり、利用して利益を上げたりすることができます。(使用収益権といいます)

借りた部屋は、他人の大事な財産ですので、返すまで大事に使わなければなりません。(善管注意義務といいます)

また、契約時になされた特約(たとえば、動物を飼ってはいけないとか)を守る義務があります。

ただし、先に述べたように法の趣旨に反するもの(たとえば、返還時の費用を全て負担するなど)や非人道的・不合理なもの(たとえば、子供ができたら出て行くなど)は無効(ないと同じ)とされます。

賃借人の中心的な義務ーしなければならないことーは賃料を支払うことです。

家賃が急に大幅に値上げされた場合、賃借人は、裁判所にその是正を求めることができます。

賃借人のもう一つの義務は、賃貸契約終了時には、目的物(借りている部屋)を賃貸人に返すことです。

以上が、賃借人の主な義務です。

最近の賃貸住宅の顕著な傾向は、土地の所有者が投資あるいは節税目的で、建てるアパート・マンションが多いことです。

この場合、通常のアパート・マンションと違い、土地所有者は、契約の相手方とはなりません。

つまり、賃借人は、その建物を丸ごと借りている会社と賃貸借契約するのです。(その建物の所有者はその借り上げている会社と賃貸借契約するのです)

このような形は、賃貸関係に限っても、所有者は家賃の取りっぱぐれや建物の管理という厄介な問題から解放されるという、利点があります。

反面、賃借人との関係はほとんどないため借り上げ・管理している会社が怠慢な場合、紛争を招きやすく、さらには人間関係がないため紛争が長引くようなことも少なくないようです。

それは、借り上げている会社は部屋を埋めたいため(入ってなくても全部屋の家賃を払わなくてはならないー借り上げだから)入居者をとにかく入れようとしたりするため、信頼関係を作るのが困難であることにも原因があるようです。

これから、このような形態の賃貸借の紛争をどういった基準で解決していくのか、判例の動向が注目されます。

2007-03-30(Fri)

不動産賃貸トラブルーアパート賃貸の法律関係6

前回は、やっぱり難しかったですか?

でも、法律はこういう考え方をしているんだなあ~って頭に入れて置いてくださいね。

ところで、以前お話しましたが、質問がありましたので、もう一度、敷金返還の流れについてすこしお話させてくださいね。

交渉時の注意点をつけ加えますね。(大事なことは繰り返しになります)

以前、敷金が返って来なかったら少額訴訟制度を利用できますよ、って言いました。

民事裁判所は、自分の権利を守るために存在するんですから。

もし、敷金が返ってこないとか、不動産業者が「敷金じゃ足りない」とか言って金銭を請求してきた場合、まず、市の無料相談で弁護士に相談する手もある、って言いました。

請求額が大きくて不安な場合は、一刻も早くなんとかしたいでしょうから、日弁連が作っている「法テラス」などを利用するといいかもしれません。

そんな時は、まずは、相手方の請求明細(又は、領収書)を確保することが大切ですよ。

請求額と振込先だけ言ってきた場合、「明細書ぐらいはを送ってくださいよ。」とかさも払うようなニュアンスで手に入れるのがいいですね。

それから、法律の専門家に相談。

そして、不動産業者を通して、賃貸人に内容証明で敷金の返還を促す。

あっ、そうそう、不動産業者との交渉時には必ずテープをとっておいてください。不動産屋に入る前にポチッとスイッチを押せばOKですから。

そしたら、「申込金」と言っていたという証拠もとれますので。(以前、お話した「申込金」か「手付金」という場合の時)

内容証明はできるだけ、本を読むなどして、しっかりした書式で丁寧なきっぱりとした文言で。それだけで解決する場合もありますので。

少額訴訟は相手方が意義を申し立てない限り、1回で終了します。

しかし、悪徳不動産業者の場合、意義を申し立てて正式裁判に持ち込むことで諦めさせようとしますので、意義を申し立てられても、めげないように。

めげなければ、だいたいは次回で不動産業者が和解を申し入れしてきます。

交渉の過程で、絶対に気をつけなければならないのは、自分の言動です。決して、感情的にならないこと。また、そのような言葉を吐かないこと。

もし、相手を感情的にさせたら、相手は、折れてはこなくなります。

以上、敷金返還交渉での、おおまかな流れと、注意点をお話させていただきました。

今まで、何回も言ってきたのですけど、これは、一般論ですので、自分が行うときは、なるべく法律専門家と相談した上で、自己責任のもと、臨機応変に行ってくださいね。

ここに書かれたことは、あくまでヒントにすぎませんので。

それでは、次回こそ、法律論に戻って、賃借人の権利・義務についてお話します。

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